平成21年度科学研究費補助金 若手研究(B)
研究課題名:膜界面作用がもたらす麻酔発現の機構解明

  研究代表者:山本 靖(名工大院工)

  平成21年〜23年度



麻酔の発現機構については、麻酔薬が生体膜の脂質部に溶解するというリポイド仮説を始め、様々な麻酔理論が展開されてきたものの、未だ解明されていない。最近は、麻酔薬が膜タンパク質に直接作用するというタンパク質理論が流行であるが、これも現象を分析し、対応する受容体を同定して済ませているにとどまっており、真の発現機構には迫っていない。麻酔作用を示す揮発性分子に共通している特徴は、弱い双極子をもつ疎水性分子であること、そして水中では水分子に取り囲まれた水和物(包接化合物)を形成することである。一方、生体膜は流動モザイクモデルやラフトモデルに代表されるような動的(不均質)構造を持ち、その構造は生体膜/体液界面に存在する「膜界面水和水」という、水素結合で弱く形成された2次元水和構造体によって保持されている。我々は、この膜界面水和水に麻酔薬水和物が作用(物理吸着)することにより引き起こされる「膜界面の物性変化」が麻酔発現の根源であると仮説を立てている。そこで本研究では、水面上に作成された分子膜を生体膜に見立て、この膜/水界面への麻酔薬の作用について、界面化学的手法である3つの方法、(1)水晶振動子法、(2)表面張力法、(3)光学顕微鏡、により調査し、膜界面という反応場での麻酔薬の作用特性を分子論的に明らかにすることを目的とする。

(1)水晶振動子法(作成中)

(2)表面張力法(作成中)

(3)光学顕微鏡(ブリュースター角顕微鏡)(作成中)

関連ホームページ ”麻酔現象について

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