加藤・古川(撹拌)G / Kato・Furukawa G
はじめに
化学製品を作る工場・食品を作る工場・医薬品を作る工場などのどんな工場にも1つは混ぜるための装置が存在します。その混ぜる目的は、反応を行うこと・伝熱を行うこと・生物を培養するなどさまざまです。
混ぜるための手法は、「撹拌・混合技術」と呼ばれ、「もの」を作るためにはなくてはならない技術です。「化学工学」という学問分野では、プロセスを構成する基本的な物理的操作や処理のことを「単位操作」と呼びます。化学工学の単位操作において撹拌・混合は、「撹拌操作」と呼ばれており、「もの」を作るプロセスを構成する重要な単位操作の一つとなっています。
名工大の化工研は、このような「撹拌・混合技術」について総合的に研究する、平岡節郎名誉教授からスタートした日本でも数少ない伝統ある混ぜる技術の研究室です。
混ぜるための手法は、「撹拌・混合技術」と呼ばれ、「もの」を作るためにはなくてはならない技術です。「化学工学」という学問分野では、プロセスを構成する基本的な物理的操作や処理のことを「単位操作」と呼びます。化学工学の単位操作において撹拌・混合は、「撹拌操作」と呼ばれており、「もの」を作るプロセスを構成する重要な単位操作の一つとなっています。
名工大の化工研は、このような「撹拌・混合技術」について総合的に研究する、平岡節郎名誉教授からスタートした日本でも数少ない伝統ある混ぜる技術の研究室です。
混ぜる科学
「撹拌」は化学工学分野だけでなく、日常生活の中でも、非常に多くの場面で見ることができます。例えば、コーヒーや紅茶にミルクや砂糖を溶かすとき、鍋の中のシチューやカレーを混ぜるとき、ドレッシングを振り混ぜるとき、小麦粉を水に混ぜるとき、お風呂のお湯をかき混ぜるとき、ペンキをシンナーで薄めるとき、接着剤の主剤と硬化剤を混ぜるとき等、あらゆる場面で我々は撹拌操作を行っています。
その主たる目的は、「混合操作」、「分散操作」、「物質移動操作」、「反応操作」、「伝熱操作」ですが、日常生活や化学実験レベルでは比較的扱うスケールが小さいために、その方法や道具が不適切なものであってもそれほど困ることはありません。しかし、工場のようなスケールの大きな装置になると急激に問題は複雑になり、適切でない装置で短時間に液体を均一に混ぜることはできませんし、反応時間が短いときほど撹拌・混合の問題は顕在化してきます。また、工業的に装置を使用して撹拌を行う場合、前述した5つの目的のうち、一つのみを行えばよいのではなく、複数の目的を同時に達成しなければならないことがほとんどです。加えて、撹拌する対象もさまざまであり、単一の液体の均相系から気液・固液・気液固といった多相系まで対象の幅は広いです。
このように、目的だけなく撹拌する液体もさまざまであるため量産装置へスケールアップすることは簡単なことではありません。そのため、「混ぜる」は、勘と経験でやらざるを得ない部分がまだまだ多いのが現状です。
その主たる目的は、「混合操作」、「分散操作」、「物質移動操作」、「反応操作」、「伝熱操作」ですが、日常生活や化学実験レベルでは比較的扱うスケールが小さいために、その方法や道具が不適切なものであってもそれほど困ることはありません。しかし、工場のようなスケールの大きな装置になると急激に問題は複雑になり、適切でない装置で短時間に液体を均一に混ぜることはできませんし、反応時間が短いときほど撹拌・混合の問題は顕在化してきます。また、工業的に装置を使用して撹拌を行う場合、前述した5つの目的のうち、一つのみを行えばよいのではなく、複数の目的を同時に達成しなければならないことがほとんどです。加えて、撹拌する対象もさまざまであり、単一の液体の均相系から気液・固液・気液固といった多相系まで対象の幅は広いです。
このように、目的だけなく撹拌する液体もさまざまであるため量産装置へスケールアップすることは簡単なことではありません。そのため、「混ぜる」は、勘と経験でやらざるを得ない部分がまだまだ多いのが現状です。
これに対して我々の研究グループでは、どのような条件設定をしたらよいかを技術的に明確にするべく研究に取り組んでいます。さらに、このようなプロセス設計手法のみならず、液体が混ざるメカニズムの解明に取り組んでいます。
我々の主たる研究手法は、輸送現象論に基づき、実際に化学薬品を用いて反応させる実験・水と空気を用いるモデル実験・撹拌槽内の流れを見える化する実験・数値シミュレーション法等です。
近年、私たちのグループでは、流脈線を見える化することで大型2枚羽パドル翼の混合メカニズムを明らかにしました。大型2枚羽根パドル翼とは、日本の各撹拌翼メーカが開発し優れた混合性能を持つ撹拌翼です。この大型2枚羽根パドル翼は撹拌翼の下部から液面に向かってすばやく伸びる流脈線を持つことが優れた混合性能をもつ理由です。詳細はこちらの文献をご覧ください。
工業で役に立つ撹拌
私たちのグループは液体が混ざるメカニズムを解明するだけにとどまりません。それを社会に還元するべく新たな撹拌翼・撹拌装置の開発や、プロセス設計において必要な撹拌所要動力・混合時間や物質移動係数の相関式の開発も行っております。
その成果には、野球のホームベースの形状を模したHB(Home base)翼の開発や製作コストを抑えつつ様々な用途に使えるAM(Advanced Mixing)翼の開発があります。これらの撹拌翼は企業との共同研究を通じて社会に実装されています。さらに、撹拌翼の開発だけでなく撹拌装置設計において欠かせない撹拌所要動力の相関式も提案しております。
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その成果には、野球のホームベースの形状を模したHB(Home base)翼の開発や製作コストを抑えつつ様々な用途に使えるAM(Advanced Mixing)翼の開発があります。これらの撹拌翼は企業との共同研究を通じて社会に実装されています。さらに、撹拌翼の開発だけでなく撹拌装置設計において欠かせない撹拌所要動力の相関式も提案しております。
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円運動撹拌と直線運動撹拌による違い
板の動かし方を少し変えるだけで混ざる速さが全く違います。
(画像をクリックすると動画を閲覧できます。)
改造版新型AM翼の位相差による混合性能比較
浮遊性粒子を用いた固液撹拌における固液物質移動容量係数の相関
幅広いレイノルズ数での混合時間に関する実験的検討
高粘度用変形合体多段翼(AM翼)の最適化
数値解析による大型翼特有の流脈パターンの再現
固液撹拌における浮遊性粒子の固液間物質移動特性
種々の大型撹拌翼の混合過程と混合性能比較
邪魔板なし条件での乱流域と遷移流域の混合時間の実験手法の検討
新大型2枚パドル翼GD220の開発と性能評価
異粘度混合における特異な流脈と大型翼の適用
当研究室オリジナル:HB撹拌子の開発(安井詩織:2023.3.15動画賞受賞(研究部門))
当研究室オリジナル:AM翼の混合機構(高橋理輝:2023.3.15動画賞受賞(技術部門))
当研究室オリジナル:Advanced Mixing(AM)翼の開発(松岡杏奈:2022.3.16動画賞受賞)
槽回転型撹拌翼による非ニュートン流体の混合
当研究室オリジナル:ホームベース(HB)翼のプロモーションビデオ(鬼頭浩平:2020.3.6卒研発表)
当研究室オリジナル:ホームベース撹拌子の実用化(旭製作所)
当研究室オリジナル:ホームベース撹拌翼の実用化(高砂化工機)
流脈観察に基づく大型翼の混合機構(平松将:動画賞受賞)
コーン型ドラフトチューブの混合性能(古川陽輝:動画賞受賞)