【1】 ロドプシンにおける光エネルギー変換のメカニズム研究

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  生物が系のエントロピーを減少させることはよく知られた事実です。しかしながら、この一見、熱力学の法則に反する不思議なできごとはほとんど理解されていません。どうしてそんなことが可能なのでしょうか? 

  例えば、プロトンポンプなど分子ポンプは、濃度勾配に逆らってイオンを能動輸送する結果、細胞膜を介したエントロピーの減少をもたらすことができます(左図)。このエントロピーの減少を、チャネルが開放(解放)することによって情報を引き出す、というのが生物の基本戦略です。

  私たちは、光を使ってプロトン(水素イオン)や塩素イオンを能動輸送するバクテリオロドプシン、ハロロドプシンをモデル系として位置付け、分光学的な手法を用いてポンプ機構を研究しています。古細菌である高度好塩菌に存在するバクテリオロドプシン(右図)は立体構造とプロトン輸送経路が決定された唯一の分子ポンプであり、なぜ方向性がつくりだされるのか、といったポンプに本質的な問題を掘り下げて問いかけることができます。特に私たちの赤外分光法を用いた研究により、ポンプ過程に重要な水素結合の変化を直接、捉えることができるようになったため、方向性を決めるスイッチ部分での構造変化や疎水領域で起こるプロトン移動、プロトンポンプにおける水分子の役割などが明らかにされようとしています。

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(上級者のために)

(関連する論文)

(参考文献) 

(共同研究者)