【5】 ロドプシン研究を通しての赤外分光法の開拓

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  ポストゲノム研究の主要なテーマが「蛋白質の構造」であるとするならば、その先に位置付けられる研究が『蛋白質の構造変化』です。『構造変化』の解明は、構造と機能を結ぶ生命科学の1つのゴールであるものの、それをどのような手法によって明らかにしたらよいのか、将来に向けての大きな課題となっています。
  私たちは、ロドプシンなどの光受容蛋白質が光によって機能発現を制御できる性質を利用し、蛋白質構造変化を解析するための赤外分光法を用いた精緻な測定系を構築しました。特に、生体分子の機能発現に重要な役割を演ずる水素結合の変化を捉えるため、X-H (X-D)伸縮振動領域のスペクトル測定を生体分子として世界で初めて実現し(図)、新しい情報を次々に引き出しつつあります。例えばこれまでの赤外分光においては生体分子に不可分である水のスペクトルの寄与をどのように排除するのか、というのが課題でした。私たちは、精度の高い計測を行うことによって水の問題を克服したばかりでなく、逆に蛋白質に特異的に結合した1個の水分子の変化を捉えることができるようになったのです。
  伸縮振動領域のスペクトル変化は、ミリオングストローム分解能での構造を追うことが可能であり、これは現在のX線結晶構造解析の3桁程度高い分解能に相当します。このような情報によって生体分子の研究に新たな光を照らすべく研究を行っています。

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(上級者のために)
(関連する論文)
(参考文献) 
(共同研究者)