卒研配属学生さんへのメッセージ 

031119  
神取秀樹

 応用化学科・物理化学分野の神取研究室(しくみ領域)は今年4月に、教官1名(+学生さん)で発足した名工大でいちばん新しい研究室です。教官自身はなかなか面白い研究をやっていると思う(世間もそう評価しつつある)のですが、教官が理学部から来たこともあって、もう1つ配属前の学生さんに理解されにくいところがあります。研究の内容を一生懸命説明した後、「それが何の役に立つんですか?」という質問によって2年続けてノックアウトされた経験から、今年はこの場で君らに先回りしてメッセージを書くことにしました。
 私たちの行っている研究は、「蛋白質がどうやってはたらくのかを、物理化学的な計測によって明らかにする」ことです。ゲノムが次々に解明され、現在は蛋白質のかたちを決めることが最重要視されている中で、その次にあるのは『蛋白質がはたらくためにかたちをどう変えるのか?』という問題です。これは解析の手法などもはっきりしていない生命科学における将来の宿題です。そういった現状において、私たちは光を利用する蛋白質の特殊性を活用し、上記の課題に取り組んでいます。ここから先は、1号館の503号室に来てもらえると、研究の現場にいる学生さんから説明を聞くことができるでしょう。このような100年後に役立つ基礎的な研究が中心であり、応用的な研究のアイデアもあるのですが、現在はスタッフ1名の弱小研究室であること、基礎研究が世界のトップを走っているためこれを失速させられないことから、配属した学生さんには基礎研究をやってもらうことになります。
 私は2年前に本学にやって来て、名工大・応用化学の学生さんのやる気とポテンシャルに感心しているので、和を乱すひとでなければ誰でも歓迎します。その中でも特に歓迎するのは、大学院博士課程への進学を考えている学生さんです。研究を究めたい人や将来大学の教授になりたい人は、503号室向かいの508号室(=教官室)に顔を出してみてください。大学院生を2年ではなく5年続けることについての経済的な問題も含めて、アドバイスをさせてもらいます。出張などで不在のときも多いので、訪問はメール (kandori@ach.nitech.ac.jp)でアポを取ってからの方がいいかもしれません。
 研究室の雰囲気なども503号室や5階ベランダで先輩の学生さんから取材したらよいでしょう。研究費はそこそこあります。また君らの先輩の努力の賜物ですが、成果もそれなりに出ています。論文が通ればワインで乾杯します。ワインの消費量に示される通り、研究にも研究室にも活力があると実感しています(なぜか研究成果とアルコール消費量は比例するという経験則があり、私費でワインを買ってくる私は顔をひきつらせながら喜んでいます。それにしても柴田君の論文の祝いで11本が一気に空いたのには参ったね...)。
 以上の通り、若くて活気に溢れた研究室であり、厳しくてもやりがいのある研究室を希望する学生さんは、我々の仲間に加わって下さい。現在、私が希望する配属卒研生は3〜4名です(学科の事情で変わる可能性があります)。その全員が大学院に進学し、そのうち1名が博士課程に進学する、というのが理想ですね。
 楽しみにしています。

【2部の学生さんに】
 1部では、すべて大学院進学希望の学生さんが配属するのに対して、2部の学生さんを卒研でどう指導するかは今年の悩みでした。実際には早々と就職を決めることができた3名と一緒に、実験は行わず和気あいあいと英文の教科書読みをしています。その中で、徹底的にプレゼンテーションを研いてもらうのが、(プレゼン上手と言われる)私の願いです。
 このやり方がうまくいっていること、2部の時間割でまとまった実験をするのが困難なこと、実験装置の数が限られていることの3つの理由により、来年もこの方針で卒業研究を行う予定です。従って、卒研で実験したいひとは別の研究室に配属することを勧めます。就職して社会に出る前に、英語とプレゼンを研きながら物理化学を学びたいひとは神取研究室に登録して下さい。
 楽しみにしています。