2021年度 オーダーメイド医療を実現する糖ヌクレオチドの合成システム開発補補助事業

1.研究の概要
糖鎖のオーダーメイド供給を実現するために必要な糖ヌクレオチドの合成法のシステム化を目指し、水系での反応方法の改善による高効率化、精製のシステム化について検討を行い、人による差がでない再現性の高い機械システムを構築した。そして、糖鎖の自在な修飾方法を利用することで糖鎖が関わる病気の解明やその治療を可能にする。開発したシステムの汎用性を示すため、糖誘導体を用いて、抗腫瘍性を有する糖ヌクレオチドを1段階反応によって合成した。本システムによって合成された糖ヌクレオチドが糖鎖の供給を可能にし、オーダーメイド糖鎖医薬の実現を目指す。

2.研究の目的
本研究では、医薬品として期待される糖鎖のオーダーメイド供給を可能にするため、基盤となる合成手法の開発を行う。酵素による制御された反応を利用するため、基質となる糖ヌクレオチドの合成をシステム化して供給可能にし、化学・酵素による複合合成による糖鎖の高機能化による糖タンパク質医薬や抗がん剤の実現を目指す。


3.研究成果
糖ヌクレオチドの合成システムの開発
糖ヌクレオチドの合成方法として、当研究室で開発した1段階反応による糖とヌクレオチドの結合反応を利用して、糖ヌクレオチドを1時間、最高収率81%でUDP-Glcを得ることに成功した。また反応条件および精製方法について、プロトコール化することにより、簡便に合成できる手法とした。
4.展望 本合成システムは、オーダーメイドで糖ヌクレオチドを提供するという目的を一定の範囲で可能になった。今後、更に十分な役割を果たすに、適用範囲の拡張および更なる精製方法の開発を行っていく。その結果、糖鎖を利用した医薬品の自在な修飾や改変による機能向上や新規医薬品の開発に応用されると期待できる。
1段階反応
精製装置