分析機器


中村研は、6階に実験室、学生居室、共通利用測定室、2階に測定室(兼倉庫)を有しています。
研究室で、使用している分析機器、器具などには次のようなものがあります。
FT-NMR(核磁気共鳴装置)

NMR装置は、有機合成において最も強力な分析ツールで、
合成した有機化合物は必ずこの測定を行います。
非常に高価な測定機器であるため、通常、大学の共通測定センターのような所で管理する場合が多いですが、当研究室のある19号館6階には、多核測定用プローブを備えた300 MHz NMR, Varian Gemini 300があります(柴田研、平下研と共同利用)。
実験室の近くにありますので、
測定したいときに即座に測定することが可能です(実験室から徒歩10秒)。
4核オートチューニングプローブが搭載されているため、1H NMRや13C NMRだけでなく、19F, 31Pといった多核NMR測定が非常に容易に行え、温度可変測定も日常的に行えます。
研究室の身近にあることで、スピードが重要な研究・教育活動において威力を発揮します。
FT-IR(赤外分光光度計)
赤外分光法は、新規な化合物の官能基の存在を知る重要な測定です(FT/IR-4600)。
液体、固体、溶液状態でも測定可能なため、合成した新規化合物の構造決定に日常的に用いています。
ATRを導入しているため、試料準備が非常に楽にできます。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)
日本分光製のHPLCが4台、島津製作所のHPLCが2台あります(一台は大北研所属物品)。
UVの検出計だけでなく、マルチチャンネルの紫外光吸収の検出器を用いて化合物の存在比率を決定できます。また、オートサンプラー、カラムオーブンも接続されていますので、分離が難しい化合物でも、分離が可能になります。光学活性化合物の比率を決定するために、主要なキラルカラムはほぼ取り揃えているため、エナンチオ選択性の決定が日常的に行えます。
LCMS
島津製作所製のLCMSです。(非常に高価な機械です。LCMS2020)。
PCで全ての操作ができ、オートサンプラーも付いています。
HPLC分離と同時にマススペクトルも取れ、直接導入によってESIおよびAPCIマススペクトルも測定可能です。
旋光計

日本分光の旋光計です(P-2200:左)。
光学活性化合物の比旋光度を計測し、光学純度の決定等には必須の測定機械です。温度制御が重要であるので、ペルチェ素子で温度コントロールをしています。
以前は、堀場製作所の旋光計(右)でしたが、2014年に新規購入し、堀場の機械(左)は予備機としてあります。
低温反応装置(恒温反応槽)
有機反応は低温でゆっくりと長時間反応を行う場合が多々あります。
低温反応装置を用いると温度制御を自動的に行えるため、
実験者の負担が軽減されます。
高価な反応装置ですが、現在研究室で9台保有しています。
(PSL-1810x2, PSL-1800x1, PSL-1400x2、PSL-2500Bx2、UCリアクターx2)
反応温度制御チャンバー
反応は厳密な温度コントロールが必要となる場合が有ります。
温度を5−60度で厳密に制御することが出来ます。
内部に電源があるので、振とう機や撹拌機を入れ、実験することが可能です。
(2015年購入)
グローブボックス
酸素や水分に触れると分解するような試薬を秤量したり、保存したりするため、内部は完全に窒素ガスで満たされています。当研究室ではフロー型ではなく、より高機能な減圧型のグローブボックスを使用しています。
スチール製のグローブボックス(2015年購入:左)と強化プラスチック製のグローブボックス(右)の2台を所有しています。
パーソナル有機合成装置
同時に様々な反応条件を精密に設定し、合成反応の検討を行うことができます。
低温反応時に反応が進行しなかった時、温度コントロールしながら昇温させる際に便利です。
2015年に2台購入しました。
分子軌道計算機
MOPAC(半経験的分子軌道計算法)用の計算機と
Gaussian09、16(非経験的分子軌道計算法)の計算機が
合計で4台あり新規有機合成反応等の反応機構の
解析および立体選択性等の解明に用います。
SPARTAN'06も使用して分子軌道計算を行っています。
実際には見ることのできない分子の挙動を視覚化できる非常に
強力なツールです。
分子科学研究所と名古屋大学のスーパーコンピュータも利用できるので、
巨大分子の計算は、そちらで行っています。
接触還元装置
オレフィンの水素化反応、脱保護反応に威力を発揮します。
専用装置で圧力も制御が容易なので安全です。
高圧も適用可能なタイプを使用しています(2015年購入)。
エバポレーター
有機合成において最もよく使う機械はエバポレーターであるといえます。
当研究室では、現在11台(ミニエバポ4台を含む)のエバポレーターを所有しています。約2人に1台の割合で使えるため、順番待ちはほぼありません。また、大気中への有機溶媒の拡散を防ぐために、ダイアフロムポンプ、溶媒回収システムをすべてのエバポレータに導入し、学生へ健康被害が起こらないよう考慮しています。
自動精製システム
自動精製装置です。TLCのRf値を入力すれば、自動で精製処理をしてくれます。
バイオタージ製。2018年購入。
減圧乾燥機
ベル・ジャー型の減圧乾燥機です。柴田科学製。2014年購入。
融点測定器
物質の融点を測定する装置です。
極微量の試料の融点を測定可能です。
化合物の純度データとして、固体化合物の場合、必要とされる場合があります。
油拡散ポンプ
油拡散ポンプDPS-2-ZBです。
通常のポンプよりも真空到達度が高いために
高真空蒸留、昇華において威力を発揮します。
水銀拡散ポンプより取り扱いが楽です。
ガラスチューブオーブン
ガラスチューブオーブン B-585です。
クーゲルロール蒸留器として使用しています。
少量の生成物を蒸留するのに威力を発揮します。
LED光反応装置
テクノシグマ製のLED光反応装置です。ヘッドを付け替えると、波長を変えることができます(現在、5つの光源ランプを所有)。
右は、試作機(金鳥1号)です。
ドラフト(局所排気装置)
中村研実験室(631号室南側)には7台のドラフト(局所排気装置)が有ります。
また、240号室にも、1台のドラフトと1台の大型実験台フードがあり、合計9台の局所排気装置を有しています。研究者2人で1台分(180cm)のドラフトが使えるスペースが有り、そこで合成研究を行います。
これは有機実験を行う上で、有機溶媒を研究室内に充満させない配慮(学生の健康への配慮)で、合成実験は可能な限り、ドラフト内で行います。
乾燥溶媒装置
乾燥溶媒の供給装置で、キャニスター缶から塩化メチレン、トルエン、ジエチルエーテル、THFの溶媒が簡単に使用できます。
溶媒精製装置
溶媒の自動回収装置です。
ポリタンクに接続することにより、20Lの溶媒回収が自動的に行えます。
これが導入されるまでは、エバポレーターに回収したい溶媒を1Lずつ接続して回収する必要が有り、手間がかかりました。
現在では、朝、スイッチを入れるだけで溶媒回収が可能です。
超音波洗浄器(脱気装置)
超音波洗浄器で、器具の洗浄や脱気溶媒の精製に使います。
2階測定室と6階実験室に1台づつあります。
オゾン分解装置
大学の有機化学で必ず習うオゾン分解の装置です。
実際は、あまり使用しないのですが、生物活性物質、医薬品の候補化合物の合成等で威力を発揮します。
オゾン分解装置は、以前は、非常に大きな装置でしたが、この装置は、最新の20x20x40センチぐらいの小型サイズです。2015年に購入。
試薬室
機器類とは違いますが・・・
当研究室は、626号室に試薬室を有しています(柴田研と共同利用)。
約5000ほどの試薬を所有しています。
試薬類は研究室、居室と隔離し、学生の安全衛生に配慮するためです。
部屋の中には、試薬検索用のPCを配置し、試薬関連のことは全てこの部屋で対処できるようにしています。
また、部屋の入り口はICカード型の入室管理システムが設置されています。

共通の機器(大学、学科所有)

FT-NMR
 多核測定が可能な600 MHz、400 MHz の高分解能NMRが使用可能です。
写真は600MHz NMRで,高分解能での解析が可能です。
CD(円二色性スペクトル)
光学活性化合物、螺旋状化合物の構造に関する情報が得られます。