高齢化社会において、老化に伴う神経変性疾患の頻度は増加の一途をたどっており、社会的に大きな問題となっている。神経変性疾患の一つであるパーキンソン病では、ドーパミン細胞の選択的変性が引き起こされる。パーキンソン病での選択的細胞死の原因は諸説あるが、近年、人工ヘロイン中に混在した1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine
(MPTP) がパーキンソン病様症状と選択的なドーパミン細胞の傷害を惹起したことから、外来性または内在性神経毒の関与が示唆されている。dopamine
由来の内在性イソキノリンアルカロイドであるN-methylsalsolinol (NMSal) は、このような神経毒の有力な候補であり、(R)-体のみが脳内に存在してドーパミン細胞に選択的細胞死を引き起こすことが知られている。ハ
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本研究では、種々のイソキノリン類の合成・光学分割を行い、応用生化学研究所の直井信博士との共同研究によって、ドーパミン細胞における細胞死の機序を解明することを目標とする。 |