糖鎖:研究紹介 本文へジャンプ
糖鎖の研究 イメージ

1.βグルカンの合成・機能研究
真菌の細胞壁β-グルカンは、植物に感染した際にβ-1,,3-グルカナーゼにより加水分解され、分解されたβ-グルカンは免疫腑活化分子として重要な役割を演じている。また、哺乳動物においてもβ-グルカンはレクチンによって認識され、生体防御機能に深く関わっている。キノコに含まれるβ-グルカンは、腫瘍免疫を活性化するとして、古くからガンを治す薬として用いられてきた。しかし、菌類からの抽出物であるβ-グルカンを精製し、構造均一なβ-グルカンを得ることは容易ではない。そこで、化学合成により構造明確なβ-グルカンを合成し、免疫腑活化機構において作用しているβ-グルカンの構造を明らかにすることを目的としている。 イメージ






2.抗菌性ポリマーの開発
近年、多くの抗生物質に耐性を持つ多剤耐性菌の出現が問題となっている。本研究室では、その多剤耐性菌にも有効な抗菌性ポリマーの開発を行っている。これまでの抗生物質と異なり簡便な構造ではあるが、幅広い抗菌スペクトルとともに、低い溶血活性を示す。またポリマーであるため、成形が可能であり、幅広い利用が期待されている。 イメージ





3.糖タンパク質品質管理機構の解析
現在、糖タンパク質の品質管理機構に関わるタンパク質の機能が次々と解明されており、糖タンパク質への注目が高まっている。複雑な糖鎖構造のため、これまで解析が困難とされていたが、質量分析やNMRの進歩により構造解析が可能となり研究が加速している。その結果、糖タンパク質の生合成において、糖鎖がタンパク質の立体構造制御に深く関与していることが明らかにされ、タンパク質の立体構造異常による病気の解明や糖タンパク質医薬など応用が期待されている。糖タンパク質の品質管理機構内の重要な酵素の機能や詳細な基質認識特異性を明らかにし、自在に操ることができれば、品質管理機構の解明や糖タンパク質生産の制御に活かすことができる。 イメージ





4.糖鎖の選択的グリコシド切断方法の開発
糖と糖を結合する反応であるグリコシレーションは、結合する位置の水酸基のみが無保護である糖受容体と、水酸基を保護し、アノマー位のみを活性化した糖供与体を用いて行う。しかし、この反応に用いる糖受容体と糖供与体の合成には多段階反応が必要であり、さらに立体選択性が重要であるため、経験と高い技術が必要である。そこで、グリコシレーションを行うことなく、機能化オリゴ糖を得る手法の開発を行う。オリゴ糖資源として安価である環状糖シクロデキストリン(CD)の位置選択的な開環反応を可能にすることで、化学合成では数十段階を要する機能化オリゴ糖を簡便に得る。 イメージ





5.非天然糖鎖の探索
DNAポリメラーゼは、複製の際にわずかながらミスコピーを起こす。しかし、そのミスは重大な細胞異常を引き起こすため、修復機構が存在する。糖鎖が生合成される際もわずかながらこのようなミスが起こっている可能性があり、非天然型の糖鎖がどのように処理されていくのか、どのような機能を持つのか、新しい機能を探索している。 イメージ