研究内容の紹介

 

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ナノチューブの電池電極への応用



リチウムイオン二次電池はいまや小型携帯電子機器には欠くことのできない存在です。その負極にはグラファイトなど炭素材料が利用されていますが、さらなる高容量を目指して多くの開発研究が行われています。私たちはカーボンナノチューブが有力な候補だと考えています。



単層カーボンナノチューブは孤立チューブとして存在することはまれで、ファンデルワールス力により数10-100本集まってバンドルと呼ばれる構造をとります。このバンドルはきわめて規則正しい構造をとり、擬2次元結晶構造由来のX線回折線が観測されるほどです。したがって、チューブの中空だけでなく、チューブ間、三角格子の隙間など、規則正しくかつ広大なメソ孔空間を有するため、イオン貯蔵体として期待されています。



ただ、単層カーボンナノチューブはグラフェンシートをどのように巻き上げるか(カイラリティ)により、太いチューブ、細いチューブ、金属、半導体チューブなどさまざまなものが生成されます。困ったことに、これらは選択合成できません。つまり、現状では、これらの混合物でイオン貯蔵の実験を行わざるをえません。そうするとバンドルへのイオン貯蔵がどのようなメカニズムで行われるかを調べるのはなかなか困難な作業になります。これを克服するため、私たちは、さまざまな手法で、単層カーボンナノチューブを処理し、丹念にメカニズム解明を行っています。