◆ イントロダクション
フラーレンポリマーを数年やっていると自然にカーボンナノチューブを高温高圧処理したくなります(本当!)。カーボンナノチューブには多層と単層がありますが、多層のカーボンナノチューブは結晶性という観点からはとても怪しい物質です。いろんな構造のものが混じっていて私にはちょっと扱えない。単層のほうも世の中には怪しいものがたくさん出回っているが、中には本当にきれいなものもある。
上図に実測した回折図形がありますが、こんなふうに回折図形が得られる試料はそうざらにはありません。この試料は都立大・片浦先生(現、産総研)からいただいたものです。レーザーアブレーション法で作られていて、精製も完璧です。ラマンをとってもDバンドはほとんど出ません。
ピーポッドも作っていただきました。XRD((b)のほうがピーポッドです)をとると(100)回折線の強度が極端に落ちているのがわかります。(これは内部のC60の散乱因子とSWNTの散乱因子がちょうど打ち消しあってしまうためです。)論文ではC60をとらえたTEM写真が多数掲載されていますが、これは実際にやってみるとかなり難しいですね。